山形市の魅力                                      大貫和春

 プライベートで観光ボランティアガイドをしていることもあり、県外のお客様を案内する機会が多々あります。お客様は異口同音に、「山形(県)は自然が豊富ですばらしいですね。」とおっしゃいます。そして、山形市に関していえば、文翔館・山形市郷土館・蔵に代表される歴史的な建物が数多く残っていることに感動されます。幸いにも山形市は空襲による戦災を免れたため、これらの建物が焼失せずに済んだものです。日本建築学会のデータベースでは、山形市の近現代建築の遺存数は、江戸期1、明治66、大正30、昭和61件で、他の同規模の市と比べて群を抜いており、特に明治時代の蔵の多さが特徴的とのことです。
山形市観光ボランティアガイド協会では、観光で山形市に来られたお客様に対して、『山形城の面影めぐり』、『時代をかたるレトロ館あるき』といった、いくつかの街あるきコースを用意しています。私のおすすめのコースは『時代をかたるレトロ館あるき』で、山形駅を起点として、まず霞城公園(山形城址)へ案内し、山形市郷土館・東大手門を紹介します。次に文翔館に案内し、そこからほっとなる通りを南進し、山形駅に帰って来るコースです。ほっとなる通りには多くの蔵が点在しているので、蔵にまつわる歴史や文化を紹介すると同時に、どんどんやき、玉こんにゃく、冷やしラーメンといった庶民の味も合わせて紹介しています。
一昨年の冬、香港のご家族(3人)を自分の車で銀山温泉に案内しました。当日は山形市は普通の雪降りでしたが、銀山温泉に近づくにつれて吹雪となり、尾花沢市近辺では信号も良く見えないという最悪のコンディションでした。しかし、彼らはかえってそれを喜んでいました。その時、旅行者は自分たちが住んでいるところにないもの、あるいは非日常を求めてやって来るんだとあらためて思いました。逆境を逆手にとった、雪下ろし体験ツアーが人気があるのはそういうことかもしれません。
また、「おらの村にはなんにもない。あるのは普通の暮らしと普通の食べ物、そして、ばあちゃんの暖かいもてなしだ。」というのが人気で、多くのリピーターが訪れるという山あいの里がテレビで紹介されていました。昨今の旅行者は目も肥え、舌も肥え、興味も千差万別で多様化しています。何を求めて旅行者がやって来るのか推し測るのは難しいのが現状です。
そんな中で、先月山形市で行われた『東北六魂祭』は大成功を収めました。東北を代表する6県のお祭りが一度に見られるということだけではなく、6県の味も終結しました。さらに、同時に行われたいろんなイベントが祭りを盛り上げました。関係機関及び団体の企画・演出のすばらしさだけではなく、ボランティアや市民の下支えがあったことが大成功の理由だと思います。
自然や建物などの景観が第1の資源とすれば、第2の資源は郷土の味に代表される食の魅力でしょうか。そして、第3の資源は特色あるイベントになるのかと思います。そして、忘れてならないものが観光客を迎える人の意識、すなわち、『おもてなし』のこころといえるかもしれません。
蔵王を代表とする自然、霞城公園・文翔館等の歴史的景観、1年を通して行われるイベント、そして郷土色豊かな味と、山形市は観光資源に恵まれ、魅力に事欠きません。多くの観光地が観光客を呼び込もうとしのぎを削っている昨今、よそにはない特色を打ち出す一方で、忘れてならないのは『おもてなし』のこころだと思います。






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